アラド戦記:キャラクターへの投資効率についての質問回答(コメント企画)

投稿日 2022年3月8日 最終更新日 2022年3月9日

 今回は、いただいたコメントによる質問に回答していくタイプの記事です。俯瞰的な目線で答えるつもりですが、価値観によってものごとの見え方が異なるので、あくまで一例としてみてください。


今回お答えする質問

Q1.なぜ「増幅は誤差」「増幅は自己満」と言われてしまうのか。
Q2.過度なクルセゲーなゲームデザインの中、
  火力キャラクターに投資するのはコスパが悪い理論について。

 今回は、装備増幅等のキャラクター強化に関する話題についてお答えします。本来はもう少しまとめて回答したかったのですが、内容が内容だけにボリュームが大きくなるためこの2つに限定しています。

 

 

 

増幅のコストと恩恵について

Q.なぜ「増幅は誤差」「増幅は自己満」と言われてしまうのか。
A.得られる恩恵に対するコストが高いから(特に火力職)。

 これに尽きると思います。特に増幅値の伸びが改善されるアップデート以前では全身増幅+10でようやくステータスが1割台伸びる程度でしたが、イベント等による強力なブーストがない限り、1部位を+10にするのに順当に見ても100M、運が悪ければ300M以上かかるのが普通でしたソロでの火力を1割伸ばすだけで1000M(1G)以上かかる覚悟が必要だったわけです。もちろんバッファーがいるパーティでは思いっきり効率が落ちます。

 さらに増幅にはベースになる「異界の気」が必須です。60キャップ~70キャップの初期までは自職の気つき装備を拾う以外の方法が実質ありませんでした増幅書の材料である残骸を手に入れるには、+11以上の装備を増幅して失敗するしかなかった)し、増幅というコンテンツ自体に現実味を感じているプレイヤーはほとんどいませんでした。その後黄金増幅書が実装されたりしましたが、依然として新たに増幅付与する費用は膨大なものであったといえます。

 100レベルエピックでは継承システムの存在により気つき装備の入手難易度が緩和され、さらに黄金増幅書を配布するイベントが行われたりはしたものの、新規で付与するなら現在でも50Mほどのゴールドが必要になったりします

 このような経緯があるので、増幅=高いというイメージは古参プレイヤーであればあるほど根深いものとなっているでしょう

 

 そして、その結果得られる火力上昇率は相対的に低いのも間違いないことでした。95レベルキャップには地域バフの実装によって増幅の恩恵上昇も図られましたが、バッファーの支援力の向上も著しかったため、「あった方が良いけど効率が悪い」という現象自体は相変わらずといえます。

 例えば年の最強称号は安ければ数千円、高くても1万円台で購入可能でしたが、弱称号と比べたときの火力上昇量は加算でおよそ20~30%にも上ります。使徒パッケージの弱称号が相対的に強かったのでマイルドになりましたが、それでも増幅による火力上昇量と比べるとコストパフォーマンスは10倍以上であった時期の方が多いでしょう。もちろん、周年イベントの増幅バフや、数年前にあった+10装備増幅券30Mなんていう現象のときは例外です。

 他にも属性強化+30の宝珠を3枚付与すると、加算とはいえ+20のときと比べると30の差、つまり15%近い火力上昇が見込めます今では+25のカードが安いためそれで比較すると15の差、つまり約7%の伸びにはなりますが、3枚付与したとしてもかかる費用はせいぜい100M台でしょう。増幅と比べたときのコストパフォーマンスは圧倒的なんですよね

 もちろん「全部やったら一番強いんだから全部やろう」っていう論理は成立するのですが、増幅に関しては「なくても問題ない」コンテンツが大多数であったこともあり、指数関数的なコスパの低下が起きる装備増幅(特に+10以上)に大量の資金を投下するプレイヤーは多数派とはいえないというのが1つの現実ということです。少なくともメインキャラ以外に関しては逆にメインキャラについては、「趣味と割り切って」増幅+10以上にする人は割と多い印象

 

 なお、名声値の実装に加えオズマレイドという難易度制のレイドがリリースされたため、現在では高難易度に参加するための名声値の向上につながるという明確な指針が出たこと、また先述したように増幅を行うためのコストとそれによる火力の伸びが改善されたことにより、装備幅を行う意義はかつてなく向上しているということは言えると思います。とはいえ10年以上続いた先入観もあり、なおかつ+10以上の増幅を行うコスパ自体は今も決して良いとは言えないのも確か

 一方バッファーに関しては、ステータスの伸びがそのままバフスコアに直結するため、相対的に増幅の重要性は高いといえます。しかし上記の質問はおそらく、火力職を主眼として向けられたものではないかなと推察していますとはいえ、増幅よりコスパの良い強化要素が多いのもまた事実です。現環境では、できれば気つき装備のある部位は+8以上にしておくのがベターですけどね。

結論
1.装備増幅はコストが異常にかかる割に、
  コンテンツ攻略への恩恵が誤差の範囲を脱しづらい時期が多かった。
⇒そもそも参入障壁が酔狂レベルの高さを持つ時期も

2.近年ではコストが緩和され、増幅を行う意義も増えているものの
  長年続いたイメージはぬぐいきれていないと思われる。
⇒今でも+10以上の増幅コストは甚大といえる

3.現在でも一定以上の増幅が趣味の範疇であることは確かなことから、
  「(過剰)増幅は自己満足」というのは誤りとは言いきれない。
⇒効率/コストという指数で考えると相変わらず低め

 

 

 

火力職への投資効率について

Q.過度なクルセゲーなゲームデザインの中、
  火力キャラクターに投資するのはコスパが悪い理論について。
A.増幅に限っては妥当だが、論理が先走りすぎている。

 これはおそらく、増幅について発言した人の論理が伝言ゲームの中で歪曲されてしまったんじゃないかなと思います。先述したように火力職の装備増幅については、コストに対する伸びが悪いことは事実

 一方、バッファーのステータスはバフ力に直結するので増幅の恩恵は高いほうなわけです。例としてパーティプレイにおけるダメージに関する、ものすごく簡易化した式を立ててみましょうか。

最終ダメージ=D×(S+B)
D=火力職のダメージ倍率
⇒装備や称号、クリーチャーの倍率や属性強化、スキル倍率など
S=火力職のステータス(力知能、物理魔法独立攻撃力)
B=バッファーの支援によるステータスの伸び

 めちゃくちゃ単純化していることは承知いただきたいですが、しかし全体的にみた感覚はこのようなものといえるでしょう。支援ロキシーは例外とかそういう要素は論旨と関係がないので無視します。

 この式において増幅はSに含まれるため、バッファーの支援力との関係性は加算になります。つまり、仮に増幅で伸ばした力知能が地域バフ込みで1000であったとしても、バッファーの伸ばしてくれる力知能が10万であれば1%しか違わないことになります。

 計算を分かりやすくするために設定した10万という数値は上位プレイヤーでやっと達成できる値ですが、実際問題オズマレイド級のバッファーなら7万~9万くらいの伸びは一般的な数値です。

 


▲増幅11、知能5876のキャラクターのシロコレイド地域バフは16336

 


▲増幅8~9、力4895のキャラクターの地域バフは14048

各キャラクターの最終的な個人ステータスは
5,876 + 16,336 = 22,212
4,895 + 14,048 = 18,943

よって、力知能が約1000異なるキャラクターのステータス差は
22,212 - 18,943 = 3,269

 この場合、ステ差が1000のキャラクターの個人ステータスは3200ほど異なるという結果が出ました。仮に元の自己ステータスと支援バフの合計が力知能10万であった場合、約3.2%の違いってところですね。なお、今回の比較では分かりやすくするため、ステ差が1000に近いキャラクターを意図的に選んでいます。

 +11増幅にかかる費用は基本的にイベントに依存しますが、+11装備増幅券の価格としてありがちな150Mという値を前提にした場合、武器以外+11増幅で1650Mかかります。今回は+8~9との比較のためもう少し価格差は少ないですが、3.2%伸ばすために1500M以上支払うというのは効率論からいうとかなり微妙なことは間違いありません。

 

 一方、Dの値すなわち火力職のダメージ倍率を上げる投資はどうでしょうか。例えば属性強化に関しては先ほど述べたように、元々+25の付与を行っていたキャラクターに+30を付与した場合、100M台の投資で加算7%の火力アップを見込むことができます。

 仮に元の属性強化によるダメージ上昇率が100%であったとすると、約3.5%の火力向上、つまり1000M以上投資した増幅の伸びを若干上回っていますもし元の属性強によるダメージ上昇率を150%(かなり高い方)としても2.8%の伸びなので、コスパ的には10倍に匹敵します

 その他称号、クリーチャー、プラチナエンブレム等のダメージ倍率に関わる装備は明確にパーセントで伸びてくれるので、増幅と比べた場合圧倒的に高いコストパフォーマンスを持つものが多いといえるでしょう。もちろん、武器レアクローンアバターなどのように低コスパのものも存在しますが。

 

 また、そもそも論として、この辺りの倍率をしっかり上げなければレイドでダメージディーラー(火力)の役割を果たせないという点も押さえておく必要があります。極端な話、D×(S+B)のDの値が1000の場合と10000の場合で、ダメージが10倍違ってしまいます今のアラド戦記はダメージ倍率とバフステータスを掛け合わせることによって、けた外れのダメージを出していくゲームなのです。

 シロコレイドまでは比較的ゆるやかな難易度でしたが、仮にギリギリ緑パーティのみ担当できるキャラクターで参加できたとしても、必ずほかの人に赤パーティの役割を果たしてもらわなければなりませんでしたこの辺りは持ちつ持たれつなので、緑レベルで参加することを良くないと言っているわけではありません緑レベルのキャラクター「しか」存在しなければ攻略難易度が大幅に上がってしまうというだけの話です。

 さらに黒い煉獄やオズマレイドでは難易度システムが採用されたため、各人が自分に合った難易度のパーティや攻撃隊に参加し、レイドではそこからさらに攻撃隊長が赤~緑の3パーティで戦力配分を行うことになりました。キャラクタースペックを最低限のままにしてしまうと、プレイの選択肢を広げることができなくなったということです。もちろん、オズマレイドをガイドやスクワッドなどで満足している人は全然問題ありません。あくまで上に行きたい人向けの話です

 自分のプレイヤースキルを向上することはもちろん、キャラクター自身の装備倍率を上げることがいよいよ重要である環境になったわけです。言い方は悪いですが、ダメージが出せなくても寄生しやすい環境ではなくなってきたということですね。

 中には目的の難易度に参加できることのみを意識し、名声値を上昇させることのみにこだわる人もいるかもしれませんが、実際に名声値を上昇させる大きな手段の1つに装備倍率の向上があるのもまた確か。そのため、火力キャラへの投資は今までの環境の中で最も重要になっているといえるのではないでしょうか

※余談。物魔独に関しては力知能と比べると比重が高いはずで、これに関して昨年末に記事をまとめようと思ったのですが、なかなかに順番が回ってこない&時間を割く優先度が低いということで結局やってなかったり…。

結論
1.装備増幅に対する投資効率は確かに低い。
⇒バッファーとの差が極めて大きい

2.ダメージ倍率に関する投資は必須レベル
⇒掛け算する値の1つが極端に低いとどうなる?
⇒昔から倍率は大切だった

3.装備倍率向上に関する投資は過去最大の重要度。
⇒難易度システムの実装による格差の発生

まとめ
●黒い煉獄実装以前、確かに「増幅は趣味」だった。

●難易度システム実施後は「目的に応じた増幅」が必要に。

●投資効率という観点では相変わらず増幅は低コスパ。

●火力職の増幅はバッファーより低効率

●火力職への投資は倍率に関するものなら必須レベル

 以上、アラド戦記(に限らないと思いますが)のキャラクター強化要素は、見込まれる効果に対する費用は決して一定ではありません。全部やるのが最強なのも間違いないし、目的に応じて必要な分だけこなすのが効率的なのも確か

 昔と比べると、いわゆる「人権」の概念が明確化されている傾向は否定できません。しかしこれはほとんどのオンラインゲームにおいて強まってきている傾向であること、アラドはその中でも比較的住み分けて自分なりのプレイが行いやすい環境であることから、自分に合ったプレイスタイルを模索していくのがベターと思われます。

 

 

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