【ゲームレビュー】ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女

投稿日 2025年6月15日 最終更新日 2025年6月15日


 全ライフ(職業)を最高ランクの「えいゆう」まであげることができて一段落したので、本作をレビューしてみようと思います。

 

総合評価
 一言でいうと 「丁寧に作りこまれたボリュームたっぷりの良作」というところでしょうか。その代わり1つ1つのコンテンツはそこまでディープではなく、広く浅く、だけどボリュームは膨大って感じですね。

 主なコンテンツとしては戦闘、採取、製作の各ライフ(職業)を極めることのほかに、ストーリー、オープンワールド探索(バカデッカーナ大陸)、ランダム生成ダンジョン探索(ガチャダン)がゲーム進行に影響のある重要な要素といえます。

 これらのコンテンツは互いに密接にかかわっており、Aを進めるためにBが必要になるという紐づけがそれこそ網の目のように張り巡らされており、最終的には自然とすべてに手を付けていくゲームデザインで、「死に要素がない」といえます。まあストーリークリアにはガチャダンは必要ないとか、そういう部分部分の乖離はありますが。


 そのうえで趣味コンテンツとしての島づくりやキャラクター装飾などが待っています。島づくりはまだほとんど手を付けられていませんが、おおむね「あつ森(どうぶつの森)」のようなイメージに近いそれ。あとは優秀なオプションを持つ装備の厳選なんて要素もある程度は可能。


▲ハウジングはほぼ完全にアレそのものである。

 そして実は趣味要素こそこのゲームのエンドコンテンツ。なぜなら家具や服装などのレシピを手に入れるために、オープンワールドの探索や島のクエスト、ガチャダンなどを消化していく必要があるからです。

 むしろキャラメイクの追加素材に至っては島の掲示板クエストをすべて消化しないと解放すらされないものがあるので、これが真のラスボスかも。掲示板クエストはあらゆるコンテンツをしっかり進めていかないとコンプリート出来ません。

 ただし、これらのコンテンツはそれぞれ個別でいうと似たような作業を繰り返すことになるため、徹底的に作業ゲーであることは留意する必要がありますコツコツ作業して一歩ずつ進んでいく感覚が好きな人に向いていて、それが嫌いな人には合わないです

 あと、キャラメイクや島づくりといった趣味要素も結局は「攻略の効率」とかそういう要素とは逸脱した作業概念ともいえるので、やはり全般的に趣味に徹してゲームを遊ぶのが好きな人向けといえるか。

 重厚なストーリーや演出とか、テクニカルなプレイとか、そういった方向性を求めてプレイするゲームではありません。効率的な動きが上手くなくてもコツコツ作業すれば結局どうにかなるゲーム。

 

ストーリー 
 大前提として、個人的に本作のような生活要素などの作業を主軸にしたゲームにおいて、ストーリーはオマケに過ぎないという認識。特に期待して遊んではいませんでした。

 その前提の上で本作のストーリーに関しては、まあ特にどうということもないながらもクライマックスは結構楽しめたかな、というのが雑な感想。

 そもそも恐らくメインターゲットが小中学生であろう内容という点もある。なので色々ガバガバな点とか子ども向けの描写(コロコロ系のノリとでもいえるか?)が目立つものの、生暖かく見守って流したという感じ。強いて言えばラスボス撃破後の描写がちょっと薄すぎた気はしなくもないか。

 なのでまあ、前項でも述べた通りストーリー自体のクオリティを望む作品ではないものの、子供向け作品としてはしっかり面白いかもしれない内容ってところか。

 

戦闘
 このゲームの戦闘はあくまで多くある要素のうちの1つ。というわけで戦闘システム自体はものすごく簡素です。スキルやジャスト回避などの要素はあるものの、聖剣伝説等の古典的ARPGから大きく逸脱しない程度のものといえるかな

 そして難易度も基本的にはかなり低いほうといえます。私は自キャラが20レベルで敵レベルが35以上のダンジョンに迷い込みましたが、普通に奥まで踏破して50レベルのボスまで倒しちゃいました。

 パーティメンバーが倒れても他メンバーが救護すると起こせるし、自キャラすら仲間に助けてもらえます。そして仲間はかなり積極的に他の仲間を起こしてくれます。なので全滅リスクは極端に低いほう。そして古典的なARPGなので、ジャスト回避しないと死ぬとかそういうこともありません。

 ある意味でこのゲームにおける戦闘は、モンスター素材を得るための採取活動に過ぎないといっても過言ではないかも。もちろん強くなって戦闘を有利に運ぶというステップアップは楽しめるので、その辺は心配いらないですが。今後のアップデート予定の文言を見る限り、さらなる高難易度もありそうですしね。

 あと戦闘に関してはちょっとバグじみた挙動が多いのはネックではあるか。


▲地形にめりこんで無敵になりチャレンジ達成不可能。


▲めりこんだまま倒せたもののアイテムの回収が大変な例。


▲これは戦闘じゃありませんがランダム宝箱が崖を向いていて開けられない。

 あとは敵のPOP位置付近で戦っているのにタゲが切れて無敵になり全回復などもあり、地形めりこみバグも相まって挙動がおかしい。全体的に敵+地形+距離の判定が色々ガバガバかも。まあ今のところプレイに致命的な支障は出てないですが。

 

採取と製作
 このゲームの採取はある意味戦闘のマイナーチェンジで、採取物のHPを0にしたら獲得って感じです。そして製作のほうはミニゲームをうまく処理すると製造に成功し、さらにその効率によって品質の高いものが作れるって感じ。


▲採取戦闘。チャージ技やテンション技も駆使しつつ、採取を完了させなければならない。採取中にアイテムは使用不可で、SPが尽きたら何もできなくなる(製作仲間を連れていれば回復もありえるが)。


▲製作ミニゲーム。通常押しのほかに連打、回転、長押しを含んだ操作を3つの器具を使って行う。残り回数以内に成功させれば完成し、残りターン数に応じて品質が上がる。そして「かんせいど」の伸びはステ依存。

 どちらもプレイを手際よくすることで効率を上げられますが、成否のかなりの部分を装備とキャラ育成に依存しており、RPG的といえます採取(実質戦闘)と製作ミニゲームはどのライフでもそれぞれ似通ったプレイとなるので、ワンパターンな作業を繰り返すことにはなります

 その点、どちらかというとこのゲームのメイン要素は、各地を飛び回って新しい採取物を見つけたり、作りたいレシピに必要なものを探したりという方向性のほうが主軸といえるか。

 職業クエスト(試練)をクリアして最高ランクを目指すというのが1つのメインコンテンツではありますし。そして行きつくところは趣味でほしいものを作るための素材を手に入れる方法を探すゲーム

 というわけで個人的には、採取や製作の取り組みそのものよりも、何を作りたい、何を採取したい。新しいものを見つけたい、作りたい。そういった方向性で楽しんでいたように思います。なんだ探索ゲーか。

 

オープンワールド
 このゲームのオープンワールドはシンプルで、各地にある採取物やモンスター、宝箱などを探し求めつつ、各種チャレンジをこなしてエリアレベルを上げ、更に新たな探索物を出現させるといった感じです。あと仲間の多くもここで見つかります。

 そういえばこのゲームの仲間は50人ほどいるので、好きなメンバーで冒険できるという特徴もありますね。ちょっと各キャラの掘り下げが弱いですが、前作ファンにとってはなじみ深いキャラも多いようです。

 オープンワールドでよくありがちな、無駄に通れなくする鼠返しなどの妨害が基本的にないのは好印象。ただ遠回りさせるためだけの障害はいらない。

 その代わりフィールドギミックなどは特にないし、特定のアイテムやスキルを手に入れることで新しい場所に行けるようになるということも基本ありません。中央にあるダンジョンはちょっと別枠だしストーリー絡みなので割愛。
→ただしメインストーリーのエリアである島には採取ステータスや仲間の人数で開放されるエリアなどあり。

 ちょっと気になったのはエリアレベル上げが「それ自体が目的の作業」にすぎないこと。チャレンジを消化したりしてポイントを稼ぐのですが、ポイント以外のメリットが全然ない(一応、なけなしの現地通貨はもらえるが)。

 伝説チャレンジと呼ばれるレア採取orモンスターを発生させるためのレベル3はまだ良いですが、更なる固有湧き出現のためのレベル5は結構手間でした。そしてその上にまだ2レベルあるようですが一体どうなるんだ…要求される数字は意味不明なくらい高い。伝説チャレンジで稼げるポイントが高いのでそれが出現しやすいエリアは比較的楽なんですけどね。

 

ガチャダン
 不思議のダンジョンのようで、そうでもないようなコンテンツ。1区切りの中の最奥となる10階層目に各ライフ(戦闘、伐採、採掘、農業)のいずれかのボスが湧き、そこを目指して進む

 1階層当たり10年というちょっと変わった数え方ですが、「1000年前」まで潜ることができます。要は地下100Fまである。そして100年(10F)刻みでのチャレンジになり、階層が進むと敵レベルが(採取物も含め)上昇。

 固有のレシピ(を入手できる謎の石板)やモンスター、採取物が出現しますが、レシピ以外は基本的にボスだけが固有度の高いものとなります(ボス以外もあるにはあるが、ありふれているので時期に必要なくなる)。 あとは仲間パワーアップアイテムも出る。

 そこそこ楽しいといえば楽しいが、ある程度プレイすると道中が完全に死にプレイの作業になるのは惜しい。そして目当てのボスが出るまでリセマラし、入場材料が足りなくなったらそれをドロップするオープンワールドのミミックを倒しに行くという妙な作業も発生。もう少し快適性と道中の意義は欲しかったかも。レア部屋とかはあるんですがね。

 あと、800年前くらいになると普通に敵レベルがめちゃくちゃ高くなるので、現状最も極端にレベルを要求されるコンテンツがここになります。他コンテンツはレベル60あるかないか程度でも問題ないが、ここだけははるかにボーダーが跳ね上がります。ただし最下層まで行くメリットは熟成祭壇という、装備品に追加オプションを付与するコンテンツくらいか。なんだいつもの趣味コンテンツじゃないか。

 

 島づくりに関してはまだあまり手を付けていないので割愛ですが、ハマる人はハマる完全趣味コンテンツですね。

 

総括
 …と、ここまで書いていて気づきましたが、このゲームは本当に「職業をマスターしたい」「あのアイテムを作りたい」「島やキャラの見た目を整えたい」という各目的に従って、作りたいもののレシピを入手し、その素材を入手するために戦闘や採取を行い、戦闘や採取を成功させるための装備や道具を作り、その装備や道具を作るための素材を集め…といった感じの無限ループそのものを楽しむゲームであるということが改めて実感できました。そしてそのボリューム自体は突き詰めようとするととんでもなく多い

 これがやりたいなら買いです。作業が苦痛だと思うならスルー安定です。

 


▲全ライフコンプまで101時間でした。途中無駄な採取などでの寄り道が多い時期もあったり、最後に残った必要素材であるデビルマグロ(とそのヒレ)とマオーのかけらを落とす2種のボスをガチャダンでリセマラして探すだけで10時間ほど? 費やしたりとかしました。

 これでもまだまだ解放できていない要素は多いです。何もかも極める趣味プレイならどれだけかかるやら。そして島づくりはその範疇にすら含まれない。

 こんな膨大な作業を喜ばしいと思える人向けのゲームです。FLiの沼へようこそ

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