投稿日 2022年2月15日 最終更新日 2022年2月15日
ものやサービスを値段で判断してしまっていないか? とか、オーバースペックなものにお金を出していないか? などというお話。
もくじ 1.価格イコール価値ではない 2.必要なスペックを見極める
1.価格イコール価値ではない
人間がモノを買うとき、「値段がいくらか」というのは大きな判断基準の1つになります。このとき「高いから性能が良いだろう」とか、「高いから価値があるのだろう」とか、「高いものが安売りされているからお得」とか考えるのは罠思考。
ということで、まずは価格の高さが罠であるパターンについていくつか見ていきましょう。
A.利益率が高すぎる場合
マクドナルドのポテトの原価がいくら~みたいな話が広まったりするように、商品には原価と販売価格の乖離があります。もちろん、ポテトの場合も原材料のジャガイモをそのまま販売するわけではないので加工費がかかりますし、従業員が調理するフローも必要な事でもわかる通り、人件費などの諸費用が反映されることは言うまでもありません。そしてこれは当然のことでもあります。産業とは付加価値を売る行為だからです。
しかし、世の中には悪徳商法が横行しているのも事実です。商品やサービスに対して異常に高い金額をつけたり、常識的にお金を取る理由にならない「自称サービス」に対する代価を請求したりする「ボッタクリ飲食店」については、SNSでも時折話題になったりします。
他にも、信者ビジネスで高額なお金を徴収するオンラインサロンやセミナー、情報商材などもありますし、流通が少ないのを良いことに買い占めして価格を釣り上げる転売行為を行う人もいます。値段が高いから良い物とは決して言えないわけです。
もちろん、正規の方法でありながら利益率を高く設定している商品も、さりげなく存在していることでしょう。カルテル等による寡占や独占は法律で禁止されていますが、実質的に「それに近い状態」になってくると、高い価格設定でも需要がある限り買わざるを得ない場合も存在しますよね。
あとは、割引という概念にも注意が必要です。架空の販売価格を設定して、大幅値下げを偽って売ることは基本的に禁止されていますが、そうでなくても「値下げしているから必ずお得」という安易な考えで商品を選ぶのは危険です。純粋に「自分にとってその値段に見合った商品かどうか考える必要があるということですね。
相場は需要と供給で成り立つものとはいえ、経済全体の合理性に従ってそれらが調整されている場合がすべてではないということです。その商品やサービスから得られる付加価値に見合った価格であるかどうかという視点は大切です。
B.付加価値に無駄がある場合
パソコンなどでよくある例です。国内大手メーカーがPCを販売する際にさまざまな「便利なソフトウェア」を最初からインストールした状態にし、その価格を上乗せする商法が一般的となっています。年賀状編集ソフトなどが典型例ですね。
あれは無料で入れてくれているわけじゃなくて、それを含めた価格設定にしているから商売が成立しているわけです。もちろん実際に便利に使えるソフトもあるとは思いますが、1回も使わずにデスクトップからショートカットを消してしまうソフトだってあるでしょう。そういった無駄なソフトにもお金を払うことになってしまうということです。
確かにPC初心者にとって、ソフトウェアという形で「できること」の選択肢が提示されることは悪くないかもしれませんが、ほとんどの購入者は価格に応じた内容を活かしきることができないでしょう。
これは家電製品における「便利機能」についても当てはまります。最近の家電には本来の用途(冷蔵庫の「冷やす」、洗濯機の「洗う」など)に加えてさまざまなオマケ機能が搭載されている場合があります。
何となく便利そうだから機能がついている方にしよう、と安易に選んでしまっている人は、ある種のカモにされてしまっているといえるかもしれません。それらの機能分も価格に反映されているわけですからね。
商品の本質から逸脱した機能については確かに便利な場合はあるでしょうが、それが本当に必要な機能なのか、機能なしの商品でも実は問題ないのではないかという視点を持つことは大切な判断といえるでしょう。何しろ機能分だけ価格は上乗せされていると考えるべきなのですから。餅は餅屋として、それぞれの機能をメインに受け持つ商品を別々に買った方が良い場合もあります。
C.“最新”&“限定”&“プレミア”
これは分かりやすい話だと思います。最新式の家電やPCパーツは極端に高い。それが1年後に新商品が発売されたとたん、一気に安くなったりしますよね。つまり最新という付加価値には性能や品質以上の価格が上乗せされているということです。
新築のマンションや一戸建てについても同じことが言えますね。「新築」という付加価値が剥がされた瞬間に2割も価格が落ちるとも言われています。たとえ一切汚したりしていないとしても。
また、数量限定商品、販売期間限定商品なども同じです。その商品の品質いかんに関わらず、単純に入手機会が少ないというだけの理由で価格の上乗せが行われたりします。それがどうしても欲しいなら買うしかない、というのは分かりますが、果たして本当に欲しいのか、それでなければならないのかという振り返りは必要です。
プレミアに関しても改めて言わずともわかると思います。生産終了品、限定販売品などを公式販売で手に入れられなくなった後に、業者や個人によって高額で販売されるパターンですね。中古販売の場合もあります。
車やワインについても、きわめて古いものの中にはかえって価格が上がる傾向がありますよね。もちろん一定の価値があると認知されている場合ですが。また、りんごの実物は数百円で買えるが、有名な画家が描いたりんごは下手をすれば数億円する可能性があるというのも1つのプレミアの例でしょうか。確かに芸術というものは素晴らしいですが、絵のりんごは食べられないというのも1つの現実です。
最先端であることや手に入る機会が少ないことに価値がないとは言えませんが、自分にとってその上乗せ価格を出すに値する商品といえるか? という視点は持っておいた方が良いと思います。
2.必要なスペックを見極める
これまでは、実体のない価値や多くの人にとって無駄になる価値によって上乗せされた価格について取り上げました。しかし「本当に価値がある商品」であっても、自分にとって意味のある価値かどうかという見極めも大切です。
A.パソコンのスペック
PCの使い道は人それぞれだと思います。仕事でワードやエクセル、メール等の最低限の事務機能が使えれば良い人、デザイナーとしてイラストレーターやフォトショップ等を使う必要がある人。YouTubeなどの動画さえ見れればよい人、最新ゲームのためにハイスペックが必要な人などなど…。
それぞれの使い道に適したPCのスペックも人それぞれということです。高ければよい、安ければよいというわけではなく、自分の使用目的を快適に遂行できるスペックを大きく逸脱しないことが求められるわけですね。
最新式のパーツでPCを組み立て、その性能を突き詰めることが趣味という人もいます。それはそれで個人の価値観なので批判に値することではありませんが、そういう浪費と割り切って行う趣味ではないのに必要以上に高いスペックのPCを買ってしまうのは無駄遣いですよね。価値のオーバーフローといえます。
逆に出費をケチりすぎて、動きが遅かったりフリーズしたりするようなスペックのものを用意してしまうのもまた本末転倒です。時間とはお金でもあり命でもあるからです。
B.住居の広さ
住む家についても分相応な広さというものがあります。1人暮らしなのに4LDKで2階建ての家が絶対に必要という人は、そう多くはないと思います。大抵の場合はたいして役に立っていない部屋が出てくることでしょう。一方、4人家族なのにワンルームマンションに住むというのも物理的に無理があるといえますね。不可能とは言いませんが圧倒的ストレスに苛まれる狭さだと思います。
上記は極端な例ですが、住居というのは広すぎても狭すぎてもダメということです。お金持ちになったから無駄に広い豪邸に住んでみようとしたら、1人には広すぎるしトイレも遠すぎるので逆に不便でしかなかった、なんて話も聞いたことがあります。
家を選ぶにも、広すぎず狭すぎない範囲で適正な価格の物件を探す方が良いっってことですね。広さだけでなく築年数や防音性、立地なども含めて自分の目的にちょうど合っているかどうかが大切。当たり前のことなんですが、人間は大きな買い物になるほどその辺りが雑になってしまう傾向性がありますからね。
C.自動車の種類やスペック
自動車を所有する目的も人それぞれだと思います。趣味だけで高額かつ維持も大変なレトロカーを所持する人、通勤にしか車を使わない人、全国各地へのドライブが趣味な人など、その用途の幅は広いといえます。
通勤や買い物程度にしか自動車を使わない人は、極論だと中古の軽自動車でも十分その役を果たせるでしょう。出張やドライブで遠距離移動を頻繁に行う人は、ある程度の乗り心地を備えたセダンやスポーツカーであることが望ましいかもしれません。悪路を通行する機会が多い人は4WD(四輪駆動)の自動車の方が都合が良いでしょう。そしてレーシングドライバーがレースの時に乗る自動車は当然、専用のレーシングカーですよね。
それぞれの用途に応じて必要な自動車の特徴やスペックは異なるということです。浪費と割り切った趣味なら好きにすれば良いですが、便利な道具として自動車を利用するなら、目的に応じたスペックと価格のものを選ぶ目線が大切といえます。
D.食品や日用品のグレードについて
私はここ数か月、昼ご飯を卵とウインナーに固定する節約生活を送っています。とはいっても特に苦痛ではなく、純粋に美味しいと思って食事しています。
大衆向けウインナーブランドにはシャウエッセン、アルトバイエルン、燻製屋などがあり、どれも美味しいと思いますが、個人的に一番好きなのはプリマハムの香薫です。素で焼いたときの味が最も自分の舌に合う感じですね。逆にシャウエッセンなどはマスタードを合わせたときに本領発揮する気がします。
一度、上記のような商品を販売する大手メーカーであるならノンブランド品もそれなりに美味しいのではないか? とおもって買ってみたりしましたが、どうにも物足りないというのがぴったりの味とボリュームでした。もちろん不味くはないし普通にウインナーとして食べられます。でもやっぱり違う。ブランドとノンブランドで明確に品質が区分されているわけですね。
一方、入手機会や価格を考慮しないとき、今までで食べたウインナーの中で一番美味しかったのは筑紫彩工房のポークウインナーでした。しかしそのような商品を毎日食べるわけには当然いきませんよね。
このように、毎日の食事であっても個人個人で許容範囲や贅沢しても良いと思える範囲が異なってくるわけです。ただ高ければ良いというわけでもなく、安すぎると快適さに不備がでる。バランスが大切ってことです。
何となく使っている日用品のグレードについても、一度見直すともっと安い物でも快適かもしれないし、もっと高いものにすれば不便が解消されるかもしれません。
E.ゲームでのお金&時間の投資について
ゲームにおいても、価値と目的やコストについての考え方は存在します。例えばRPGでクリアに最低限必要な装備と、ゲーム内で手に入る最上級の装備には差がありますよね。
キャラクターのレベルやステータスだって、ストーリーを進める中で最低限の戦闘をこなすだけで上がる値、クリアするのに必要な値、やりこみつくした場合の上限値にはそれぞれ差があることが一般的です。
目的がクリアなら、そこまでやりこまなくても良い。でも上限までやりこむ人の多くは、クリア目的でそのような作業を行うわけではないですよね。単純に強さを追求する目的、すべての要素をコンプリートする目的のような達成感を求めるパターンは多いと思います。
もちろん、万が一失敗しないために若干強すぎるくらいにしてクリアの安全性を担保する場合もあると思いますが、このためだけに極端なレベル上げをする人は滅多にいないでしょう。
ゲームにおける目的志向のパターンはオンラインゲームまで含めるとさらに多彩になりますが、基本的には「クリア目的」と「達成感や趣味目的」の2種類に分かれると思います。自分がやりたいことをやれば良いわけです。ゲームに限らない話に落とし込むと、自分がやりたいことや目標とすること、そしてそれに必要だと思うことにだけお金や時間を使う。これが目的と手段の取捨選択です。
逆に、「上限があるから」「トロフィーや業績があるから」などの理由で嫌だけどやらなければならないと思っている人は、ゲームの本質を見誤っているのですぐやめた方が良いでしょう。誰のためにもならない時間と手間のロスです。
基本無料ゲームの課金についても、明確な目的があっての課金か、または趣味やギャンブルと割り切って浪費するだけなのか(ゲーム自体が浪費というのはさておき)という判断が大切です。
まとめ 1.価格イコール価値ではない ●利益率が高いだけの場合がある。 ⇒ボッタクリ飲食店 ⇒信者ビジネス ⇒値下げビジネス 商品やサービスから得られる付加価値に 見合った価格であるかどうかという視点が大切。 ●付加価値に無駄があることもある。 ⇒PCの初期インストールソフト ⇒家電の「便利機能」 本当に必要な機能なのかという視点が大切。 ●“最新”&“限定”&“プレミア”は高い。 ⇒最新式の商品はスペック差と不相応に高い。 ⇒新築の家も未開封というだけで高い。 ⇒数量、期間限定商品にも高い場合が。 ⇒プレミア品はそもそもが趣味価格。 自分にとってその上乗せ価格を出すに値する商品といえるか? 見極める視点が大切。 2.必要なスペックを見極める ●パソコンのスペック ●住居の広さ ●自動車の種類やスペック ●食品や日用品のグレード ●ゲームでの時間&お金の投資 自分がやりたいことや目標とすること、 そしてそれに必要だと思うことにだけお金や時間を使う。 これが目的と手段の取捨選択。 浪費も構わないが、浪費とわかった上でやるという判断が大事。 結論:自分にとっての目的や価値とは何かを測るのが大切。
現代社会における情報の洪水に飲まれないためにも、自分の軸を持ってあらゆる選択を行うのが自分にとってベストといえます。他人の価値観で生かされることほど、徒労なことはありませんからね。
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